リコ妊娠する
独身なのに妊娠が発覚したとき、不安よりも100倍強い嬉しさが驚きと共にこみ上げてきました。

彼の子供が、出来たんだ!
自分でさっそく病棟のエコーを腹に当てました。

よく分からないけど、小さい胎嚢だけ見えました。
「かんわいい〜」

産婦人科でやはり妊娠していると言われました。
新生児みたいな顔のドクターに「あんた、どうすんの」と聞かれ
「生みたいです!!」
とザブングルの「悔しいです!!」みたいに力強く言いました。
2回目の受診後に母子手帳をもらう手続きをしました。

親に報告することになりました。

両親への報告
まず私一人で実家に行き、結婚する、いま妊娠7週、と伝えました。
母は「ハッ!」と言いました。
父は黙ってプルプルしてました。
父は徐々に体が動かなくなる難病でした。

数日後、彼がスーツを着てうちに挨拶に来ました。
先に私は実家で待っていましたが、彼が到着し車から降りた瞬間
今日、仏滅やったわ...」と早くも憔悴した表情で言ったのがおかしくて笑いました。

彼が父のベッドサイドに座り、結婚の前に私が妊娠したことを謝罪しました。
父はこの頃には寝たり起きたりの生活をしていました。
父はまたも黙ってプルプルしていました。
私「なんで黙ってるの?悲しいの?怒ってるの?(万が一)嬉しいの?」
父「...怒っているよ...」

父は喋りにくくなる病気なので、それだけ言うとまた黙っていました。
体が動くなら、彼のことをそのへんのポータブルトイレか点滴棒で殴っていたに違いありません。

仕事を終えた母が部屋に入って来ました。
母は彼にチクチク言いました。
そんな中でも彼はまずまずしっかりした受け答えをしていたので、アドリブきかない私はやるじゃん、と感心してました。

そこそこ強めのつわりに見舞われつつも当直含む仕事を何とかこなし、上司に結婚と妊娠の報告しました。
結局被災地には男性の先輩が一人派遣されました。

新婚生活
妊娠に気づいた2ヶ月後に婚姻届を提出しました。
律儀なことに婚姻届けを出した翌日に、夫は私のアパートに段ボール箱一つだけ持って転がり込んできました。

私「荷物、これだけ?」
「人間、座って半畳、寝て一畳よ」

ミニマリストという言葉が流行る前でしたが、なんかカッコいいと思いました。

つわりはしんどかったですが、毎日幸せでした。

ちょうどその頃、イギリス王室の結婚式をテレビで観て、単純な私は
「うおーっ、キャサリン妃みたいなドレス着てぇー!」と身の程もわきまえず興奮しました。

夫に「親は来ないけど、友人だけ招いて小さい結婚パーティーしない?」と提案しました。

すると夫は「俺はリコちゃんの花嫁姿を、リコちゃんのお母さんに一番見てもらいたい。
お母さんが来ないのなら式はしたくないと意外なほどきっぱり断られました。

私は妙に納得して式は諦めました。

私は夫と結婚できて嬉しいけと、夫も同じ気持ちなのかどうか分かりませんでした。
この人は仕方なく私と結婚したのかな?

夫「子供のことがなくても、結婚したいと思っていた。
俺、甲斐性なしだから自分からなかなか言えなかったけど、子供に背中押された感じかなぁ」

夫は私のお腹をさすりながら
「出てくるのが楽しみだよー」
と赤子に声をかけてくれました。

夫は子供が生まれる前、家事はあまりマメではありませんでした。その代わり、私にやれと言うことも一切ありませんでした。
夫「俺もリコちゃんも、無理は禁物ーーーww」
と、寝そべったまま言ってました。

それから結婚後は夫婦別財布で、お互いの収入に合わせて生活費を出すことにしました。残りは自分たちでそれぞれ管理する。

夫「俺、安月給でごめんね。
貯金も全然ないよw」

私「えっ、貯金、ゼロなの??」

(だから式やめようって言ったんじゃないよね?)

家計については、夫からは毎月5万入れてもらうことにしました。
私も働いていたので、生活が困ることはとくにありませんでした。

妊娠は順調に経過し予定日を4日すぎて娘が無事に産まれました。

娘の可愛さは予想以上でした!!
新生児みたいな顔のドクターは本当は優しい人で、いつも具体的なアドバイスをしてくれました。
「あんた、歳の割(34歳)にうまくいったね。
こういう人が調子に乗るんだ。次は気をつけてね」と言われました。
こういう直球なものいい、医者には必要と思います。

夫は毎日面会に来てくれました。

実母の助けは望めず、義母が産院に来てくれて布団や毛布などをプレゼントしてくれました。
義両親はとても良くしてくれました。

初めての子育てはクッソ大変でしたが、夫はたまに夜泣きに付き合ってくれたり、子供をお風呂に入れてくれました。
夫も娘のことが可愛くてたまらない様子でした。

それから夫は生活費を家に入れるのが時々遅れ、2ヶ月分滞納することがありました。

催促してもうん、うん、と言うだけでした。正社員として働いてるのに、なんで月5万を家に入れることができないの??
何かおかしい!

夫の財布をあさりました。
するとアコムとアイフルのカードが出てきました....

つづく